自他の「間あい」

著者:鷲田清一

 前置き:

現代文で学ぶことは大きく分けて二つ。二項対立(論理構造)と、抽象的思考と具体例の識別です。

 現代文では今と昔、日本と海外、一般論と筆者の持論というように、対比軸をもって物事を論じています。これを二項対立といい、何と何を対比しているのか、筆者の意見の根拠は何か、論理構造を考えることが大事です。

 また、筆者は抽象的な持論を持っており、その持論を具体例で補強しています。筆者は結局何が言いたいのか。抽象的思考と具体例を識別できるようになりましょう。

 さて、今回の「自他の『間あい』」では単純なことを具体例で膨らませながら、丁寧に論じています。段落ごとに筆者の主張と具体例とに分けながら丁寧に要約していきましょう。

要約文

第一段落: コミュニケーションといえば一般的には他者との合意をイメージする。しかし、コミュニケーションにおいて重要なことは、他者を通じて自分を再発見することなのだ。その際私たちは決定的なダメージを負うことを避けるために自己調整を行う。それが「間あい」の役割である。

 🐿の補足: 自分とはどういう存在なのか。他者との関わりは自分を発見するためにある。これまた極端な内向的な考え方ですね。個人的には好きです。それはさておき、この文章では大きく分けて二つ、他者を通じての自分の発見、それに使われる「間あい」の役割について論じられています。


第二段落: 間合いの役割。人との間合いは小さすぎても大きすぎても居心地が悪い。しかし、間合いを調整することで、私たちは他人との決定的なダメージを避けることができる。

  対比: なし

 具体例: 間合いとは卵が並べた箱の隙間に敷き詰められたカンナ屑のようなもの。カンナ屑がなければ卵はじかにごつんごつんと押し合いながら、その表面にヒビが入ってしまう。まさに人間関係ではないか。

🐿の補足: 適切な距離感って大事ですよね。たまーに「全人類と仲良くならねば」という正義感にかられた人に出会います。🐿は基本的に内向的なので人と「仲良く」できるまで最低3ヶ月はかかるのですが、彼らは言うのです。「冗談言わないでください。3日、いや3時間もあれば友達ですよ。」

。。。🐿と彼らが仲良くなるには3年かかるなと思いましたね。

 とまあ、人間関係には適切な間あいというものが存在します。いつもぶつかりあってばかりだと疲れます。かといって全くぶつからないと、いつまでたっても仲良くなれません。難しいものです。


第三段落: 自分が存在するためには必ず他者が必要だ。誰か他者から愛されて、時には憎まれて、存在を意識されて「自分」が定義され、初めて人は存在できるのである。

  対比: なし

 具体例: 生徒のいない教師はいない。患者のいない医者や看護師はいない。

🐿の補足: 「愛情の反対は憎しみではなく無関心」とよく言いますよね。間合いを大きく取って相手から逃げるのは楽ですが、やりすぎると誰からも認知されない透明人間になってしまいます。他者と向き合うことで初めて自分が作られるのです。って話でした。


どんな話か理解できたでしょうか?

生きるのが下手な🐿には耳の痛い話でした(笑)。ということでコメントはなし。

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