働かないアリに意義がある

著者:長谷川英祐

 前置き:

現代文で学ぶことは大きく分けて二つ。二項対立(論理構造)と、抽象的思考と具体例の識別です。この技術を使って文章を要約できさえすれば、人生に必要な国語力は十分です。

 現代文では今と昔、日本と海外、一般論と筆者の持論というように、対比軸をもって物事を論じています。これを二項対立といい、何と何を対比しているのか、筆者の意見の根拠は何か、論理構造を考えることが大事です。

 また、筆者は抽象的な持論を持っており、その持論を具体例で補強しています。筆者は結局何が言いたいのか。抽象的思考と具体例を識別できるようになりましょう。

 さて、今回の「働かないアリに意義がある」では何と何を対比しているか、対比を使って筆者は何を言いたいのかを意識しながら読んでいきましょう。

要約文:

第一段落: 働かないアリがいる組織の方が、長く存続できるよい組織である。

  対比: 常に全員、働く組織の方が「よい」組織のはずだが。。?

  理由(具体例): アリも人間と同じように働きすぎると寿命を縮め、過労死をすることがわかっている。働かないアリがいる組織は、働くアリが疲れた時に交代して休むことができる組織を意味する。疲れたら休み、その間はそれまで働いていないアリが働く。一方で全員が同時に働く組織は疲れるタイミングも同じになり、誰も働いていない時間が発生する。結果、組織の存続が難しくなってしまうのだ。

 ちなみにここでいう「働かない働きアリ」とは「働きたいのに働けない、たまたまタイミングが悪かっただけの本来は有能なアリ」を指している。

 これが「働かない働きアリ」の存在意義である。


第二段落: それぞれ「個性」を持った組織の方がよい組織である。

  対比: 似たような人材が揃っていると、決まり切った仕事をこなす時は効率的だが、その反面。。?

 具体例: 個性とは能力の高さではない。仕事をすぐやるやつ、取り掛かりが遅いやつ、性能のいいやつ、悪いやつ、優れたものだけではなく、劣ったものも混じっていることが大事。

 何が起こるかわからない。そんな時に対応可能な「余力」を持つ。これが「働かない働きアリ」の存在意義である。

🐿の補足: 筆者はある意味「無能」なアリも「個性」と言っていることに戸惑いを感じます。しかし、何をもって「有能」なのかは時と場合、職務内容や人間関係の相性によって大きく変わるものなのです。🐿もヤンキー上がりのママさんが経営する居酒屋でバイトしていた時は散々「気遣いが足りない鈍臭い無能」と罵られたのですが、職場が代わり、じっくり考えられる職場では有能になれたものです( ˘ω˘)。アリの世界でも環境は変わります。今「無能」でも、いつか「有能」な存在になるかもしれません。「今の無能」を許せる組織が「よい組織」というわけですね。


第三段落: 近年「余力」を失った組織が増えている。アリの世界を見習い、「役にたつかわからない」ことを調べるのも大事ではないか。

 具体例: 近年大学では「役に立つ」研究が求められている。が、狂牛病など、「何の役に立つのかわからない」基礎研究が下地にあって解決した例も多い。「何の役に立つのかわからない」(働かない働きアリ)としての役割を担うのが大学である。


どんな話か理解できたでしょうか?

 筆者は大学を具体例としてあげていますが、民間企業に務める🐿としては「企業の働き方改革」を連想してしまいます。働きたくても働けない有能なアリ。就職して職場を見るとたくさんいることに気づきました。家事や育児、介護をしながら1日八時間、週5日、普通に働くことは、思ったよりもはるかに難しいです。毎朝4時5時に起きて子供のお弁当を作り、日中働いて帰宅後も子供の世話。それに耐えきれず離職。子供が成長した後に再就職しようとしてもまともな職につくことはできない。周りを見ても、キャリアのために結婚や子供を諦める人は多いです。

 働きたくとも働けない有能アリを切り捨ててしまう日本企業。本当にそれでよいのか、考えてしまいますね。

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