「本当の自分」幻想

著者:中沢新一

 前置き:

現代文で学ぶことは大きく分けて二つ。二項対立(論理構造)と、抽象的思考と具体例の識別です。この技術を使って文章を要約できさえすれば、人生に必要な国語力は十分です。

 現代文では今と昔、日本と海外、一般論と筆者の持論というように、対比軸をもって物事を論じています。これを二項対立といい、何と何を対比しているのか、筆者の意見の根拠は何か、論理構造を考えることが大事です。

 また、筆者は抽象的な持論を持っており、その持論を具体例で補強しています。筆者は結局何が言いたいのか。抽象的思考と具体例を識別できるようになりましょう。

 さて、今回は「本当の自分」とは?という高校生にとって馴染み深いテーマになります。筆者独自の意見や主張が熱く語られているのですが、それが一般的な世間の常識とどういう点で異なるのか、一般論と筆者の意見を対比して読み取れるかが読解のカギとなります。

要約文:

第一段落: 人はそれぞれ様々な「顔」を持つ。それぞれ多数の自分を持つ、それが当たり前ではないのか。

  対比: (一般論として、)人は「本当の自分」は一つだけだと思いがち。そして自分の知らない他人の一面をみた時、世間は「ウラの顔」や「二重人格」などと、ネガティブに表現する傾向がある。

 具体例: 普段は穏やかで口数の少ない友人が、ブログでは饒舌で、辛辣な口調で音楽や本について語っていた。

🐿の補足: まあ、あるあるですね。🐿も高校生の頃からブログをやってますが、現実の友人からはブログと現実で人格が違うという感想をもらい続けていました。友人と一緒にいるときの自分、ブログを書くときの自分、ついでに家族といるときの自分、職場での自分、授業をやっていたときの自分。全部違う自分です。

 蛇足になりますが、村上春樹の「1Q84」という小説に女子高生と付き合う数学教師が登場します。授業の姿に惹かれた女子高生から告白されて付き合いが始まるのですが、普段の姿が授業の時とあまりに違うため、「思ったのと違う」とフラレ続ける。そんな人です。すごくわかる、、、っ、と共感を覚えたものです( ˘ω˘)スヤァ


第二段落: 一方で、自分にも多数の個性があるのに、他人からその一部だけを切り取られて、「これが本当の姿だ」と決めつけられてしまうと抵抗を感じてしまう。

 具体例: 筆者は音楽全般が好きで、特にショパンやマイルス・デイビス(ジャズトランペット奏者)が好きだ。だが、メタル好きのライターとメタルについて盛り上がったことで「筆者は本当はメタルが好き」と断定されてしまい、それに抵抗感を感じてしまった。

🐿の補足: これも「本当の自分」はたくさんいる、という筆者の主張を助ける具体例になります。世間の一般常識は「本当の自分」は一つしかないと考えがちなので、こういった「決めつけ」事故が起きるのですが、決してそうではないのです。


第三段落: 人間は一人の中に様々な個人がいる、「(分割可能な)分人」なのだ。

  対比: 本当の自分は一つだけ、という考え方は間違いである。

 理由1: 本当の自分が一人だけだったら私たちは誰ともコミュニケーションがとれない。

(私たちは無意識に、ショパンが好きな人とはショパンの話を、メタルが好きな人とはメタルの話を、というように相手に合わせて自分の個性を使い分けているはずである) 

 理由2: それぞれの個性(分人)は相手との相互作用で決まる。家族や友人の前の個性は長年のコミュニケーションの結果作り上げられたものだ。

 理由3: 本当の自分には「実体」がない。それは結局幻想にすぎない。


第四段落(まとめ): 私たちは唯一無二の「本当の自分」という幻想にとらわれてきたせいで、非常に多くの苦しみとプレッシャーを受けてきた。だが、付き合う人が変われば自分の個性も変わる。他者の存在無しには個性は存在しないものなのである。

🐿の補足: 個性ってなんでしょうね。。。🐿は基本的に奇運が強いのか、非常に強烈な個性?と出会います。30過ぎて不老不死を本気で目指すことを決めて大学院に進学した人。ハッキングやら何やらやらかして個人で億単位の金を稼ぐ人。徒然草の作者の姓が「吉田」ではなかったというネタだけで3時間は空で語れる人。ドラムを1日10時間叩きまくってたらいつの間にかお隣の国でメジャーデビューしていた人。 農業に目覚めて深夜3時に気絶するまで化学の勉強するのが好きな元カリスマ美容師。etc etc…

もはやギャグ漫画の世界の個性ですが、🐿にとってそんな個性はある意味どうでもいいものです。そんなことより、🐿はその人たちと一緒に何をしたのか、その人たちと何を語ったのか。そちらの協同作業の方が🐿にとっては大事な個性です。自分のことばかり語られてる関係だと友達続けられないですし。実際友達続けられなくて何人かは縁が切れちゃいましたね。

まあ、無個性だのキャラ付けだの、若い時は悩みがちですが、そこまで深く考えなくてもいいんじゃない?って話でした。

どんな話か理解できたでしょうか。

「本当の自分」幻想” に対して1件のコメントがあります。

  1. 現代文要約を提供することで、学校の先生は指導準備や授業時間の節約ができて、生徒も授業理解が深まるという素晴らしい取り組みだと思いました。
    実際に本文を読んだことがない文章でしたが、要約を読むことで大筋をとらえることができましたし、ところどころリス先生🐿の口語調の砕けたコメントが挿入されているのは面白かったです😂
    授業理解の助けとしてはもちろん、読み物としても楽しめるサイトでした。
    また続きを楽しみにしています☺️

    1. 匿名 より:

      ありがとうございます

  2. 匿名 より:

    ありがとうございます!

  3. 匿名 より:

    えぐいいい

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