「身銭」を切るコミュニケーション

著者:内田樹
前置き:
現代文で学ぶことは大きく分けて二つ。二項対立(論理構造)と、抽象的思考と具体例の識別です。
現代文では今と昔、日本と海外、一般論と筆者の持論というように、対比軸をもって物事を論じています。これを二項対立といい、何と何を対比しているのか、筆者の意見の根拠は何か、論理構造を考えることが大事です。
また、筆者は抽象的な持論を持っており、その持論を具体例で補強しています。筆者は結局何が言いたいのか。抽象的思考と具体例を識別できるようになりましょう。
さて、今回の「『身銭』を切るコミュニケーション」では一般論に対して筆者がどんな独自理論を持っているのか、一般論と対比しながら読み解いていきましょう。
要約文
第一段落(つかみ): 筆者自身のコミュニケーション失敗の事例紹介
具体例: フランスにいた時スーパーで店員と会話をしたのだが、会話が通じないと一方的に諦められてしまった。
第二段落: なぜコミュニケーションが失敗してしまったのか。それは店員の発した単語が予想にない言葉だったからだ。
具体例: スーパーのレジで「郵便番号」という単語が出てきた。
🐿の補足: スーパーのレジでいきなり「郵便番号」とポンと言われたら、そこが日本のスーパーで日本語で聞かれたとしても、思わず「は?」と聞き返してしまうのでは?ってことですね。
第三段落: コミュニケーションの失敗原因は両者にある。この場合は話者が努力不足を反省すべきだ。
対比: 一般論として、私たちは自分の話が伝わらない時は、単に相手の能力不足だと思いがち。
具体例: フランスのスーパーの店員は、伝えることを諦めるのではなく、説明を変えるなど努力すべきだった。
🐿の補足: フランスのスーパーの店員は相手が外国人でフランス語がわからないと思い、早々に会話を諦めてしまったようです。たかがスーパー、されどスーパー。このような経験はどこにでもある、と筆者は言いたいようです。伝える側も相手を気遣いながらコストを払う。これが「身銭」を切るコミュニケーションなんですね。
どんな話か理解できたでしょうか?
こちらは単なるリスの独り言なのですが、筆者は「コミュニケーションの失敗は両者にある」と断言しておきながら、受け手側の聞き取る努力についてほとんど触れていないのが気になります。相手の意図がわからなかった時、受け手側でもできることはたくさんあるはずです。疑問点をまとめて質問する。「あなたの言いたいことはこういうことですか?」と言語化してあげる。「すみませんがもう一度お願いします」と頼む。グーグル使って調べる。コミュニケーションの失敗は自分のせいではないだろうか?両者が反省して初めてコミュニケーションが成立すると、リスは思うのです。
授業案:
自分の話が相手に伝わらなかった経験はあるか。自分自身の具体例を交えて説明せよ。
授業案:
筆者の言う通り、伝えるということは難しいことである。授業でペアを組み、「相手が知らない話」を想定してプレゼンせよ。その際どのような工夫をしたかを考え、使用した資料とともに提出すること。
例:自分の好きなもの。中学時代の自分の親友の紹介。蘊蓄雑学。国語に限らず、得意な教科の問題の解き方。
授業案:
この文章の著者、内田樹は現代文の鉄板著者である。図書館でこの著者の著作を探し、一冊読むこと。
浪人生ですが、大変参考になりました!
🐿さんの感想を読んで、本文に疑問を持つような読み方も面白いなと思いました。
個人的には、16段落の「分岐点」の話が興味深かったです。
でも確かに、17段落とかは店員さんに対してどこか偉そうな表現ですよね。。
「分岐点」なんていちいち考えていられるのか?とも思いました。
参考までに
河合塾の現代文テキストでは、
(どこまで言っていいのか分かりませんが)
13段落の傍線部『コミュニケーション不調』について、この「不調」に対してコミュニケーションを成立させる為にはどんなことが必要だと筆者は考えているか?(百字以内で)
という設問でした。