存在としての建築

著者:隈研吾

 前置き:

現代文で学ぶことは大きく分けて二つ。二項対立(論理構造)と、抽象的思考と具体例の識別です。この技術を使って文章を要約できさえすれば、人生に必要な国語力は十分です。

 現代文では今と昔、日本と海外、一般論と筆者の持論というように、対比軸をもって物事を論じています。これを二項対立といい、何と何を対比しているのか、筆者の意見の根拠は何か、論理構造を考えることが大事です。

 また、筆者は抽象的な持論を持っており、その持論を具体例で補強しています。筆者は結局何が言いたいのか。抽象的思考と具体例を識別できるようになりましょう。

 さて、今回の「存在としての建築」では二項対立を軸に論理を展開しています。何と何をどのような観点で対比しているのかに注目しつつ読んでいきましょう。

要約文

第一段落(導入): 20世紀のテーマはグローバリゼーションである。つまりいつでもどこでも同じ技術で同じものが作れる普遍性が必要とされていた。

 具体例: グローバリゼーションのためにコンクリートは不可欠だった。

 構成材料はどこでも入手可能な砂、砂利、セメント、鉄筋。型枠の中に鉄筋を組んで砂、砂利、セメントを流し込めば完成。お手軽である。また、場所を選ばず作れるだけでなく、造形の自由、表層の自由も持っていた。(つまり型枠を作ればどんな形でも再現でき、表面に「お化粧」をすればハイテクやエコなどあらゆる見た目の建物を作ることができた)加えて地震や火事、虫にも強いとなれば20世紀に普及しないはずがなかったのである。


第二段落: しかしコンクリートがもたらした負の側面も存在する。

 具体例: いつでもどこでも同じ技術で同じものを作れるというのは、裏を返せばそれぞれの多様性を破壊するということでもある。建築の多様性が失われた「さびしい時代」になってしまった。

 また、コンクリートは「強い」とされていたが、実はきわめてもろい。表面からは劣化の度合いは見えにくいが、内部の鉄筋が腐食しているかもしれない。木造であれば傷んだところを入れ替えることで長持ちさせられるが、コンクリートはそれが見えないのである。

このように20世紀は「表象」を重視した時代であった。

🐿の補足: 「表象」と、かっこいい言葉でコンクリートの特徴を述べていますが、ようするに「見た目重視」だったんですね。コンクリートで好きな形を作り、表面を好きな色で塗る。劣化も見た目からはわかりづらい。しかもお手軽に作れて材料費も低い。確かに大量生産に向いてます。しかし、本当に、それでいいのか?? という筆者の懸念がにじみでてきます。


第三段落: これからは「表象」よりも「存在(生産)」を重視しなければならない。

 対比軸: 表象(見た目)と存在(どうあるか、どう作られるか)

 具体例: 20世紀は広告代理店の時代と表現した人もいる。(つまり、実際の商品はどうあれ、広告に力を入れればそれなりの感動を生み出せるということ。)見た目ばかりを重視してきた20世紀の建築にも同じことが言える。これからの建築はどうあるか、どう作るかを考えることで、人間の豊かさが見えてくるのではないだろうか。


どんな話か理解できたでしょうか?

 建築と一口に言っても色々あります。一軒家やアパートなど住宅から、オフィスビルの構造、災害に対応した街の建築なども入るでしょうか。最近個人的に気になるのは一部屋に一匹、猫が付いてくる猫付きマンションですね。一人暮らしでペットが飼えない。しかし動物と住みたいという人のための、筆者の言う「存在」を重視した建築デザインだと思います。グローバリゼーションの名の下に、多数派が使いやすいようデザインを統一してしまうのはお手軽ですが、その地域やそこに住む人のことを考えてデザインすることも面白いと思いませんか?

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存在としての建築” に対して1件のコメントがあります。

  1. shimarisu より:

    授業案:
    他の文章を読んで対比軸を抜き出し、それぞれの特徴を箇条書きでまとめよ。

  2. shimarisu より:

    授業案:
    この文章をふまえて、何かテーマを決めて建物の建築案を考えよ。住宅、職場、娯楽施設、公共施設、なんでも良いが、そこを使う人のことを考えてデザインすること。その建物の現状の問題点を分析し、それを解決する建築案にすること。ポイントをまとめてパワポにまとめて発表せよ。

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