おじいさんのランプ
著者:宇野常寛
前置き:
現代文で学ぶことは大きく分けて二つ。二項対立(論理構造)と、抽象的思考と具体例の識別です。
現代文では今と昔、日本と海外、一般論と筆者の持論というように、対比軸をもって物事を論じています。これを二項対立といい、何と何を対比しているのか、筆者の意見の根拠は何か、論理構造を考えることが大事です。
また、筆者は抽象的な持論を持っており、その持論を具体例で補強しています。筆者は結局何が言いたいのか。抽象的思考と具体例を識別できるようになりましょう。
さて、今回の「おじいさんのランプ」では定番の今と昔で対比しつつ、本質的には(抽象的には)何を大事にすべきかを論じています。具体例に惑わされないよう丁寧に読み分けていきましょう。
要約文
第一段落: 旧メディアをよしとする風潮は、本質を間違えているのではないか。
対比: 古いメディアと新しいメディア、童話に出てくるランプと電気。一概に新しいものが悪いとは言えない。
具体例: 古いメディアの具体例は紙の本やマスメディア、新しいメディアの具体例はSNS
🐿の補足: メディアと聞いたらピンとこないかもしれませんが、情報を得るための道具のことです。人類は古くから本や新聞で、最近はSNSやyoutubeで世界のニュースや自分の知らない情報を取り入れています。その道具のことをメディアと呼びます。
第二段落: 本当に大事な本質は「知性」であって、メディアの問題ではない。
具体例: 今までは本を読んで自分の中に情報を取り込み、積み上げることが教養であり、成長だった。しかし今や、それをしなくても検索ツールがあれば十分それが達成される。情報量でも本の文字量とSNSから得られる文字量は実は同じようなもの。情報との付き合い方が変わってきたのだから、古いメディアを「よい」としてしまうだけだと、本質を見誤ってしまう。
🐿の補足: 間違えやすいですが、筆者は新しいメディア、古いメディア、どちらがよいと主張している訳ではありません。その二つを対比していると、本当に大事なものが見えてこなくなるのではないか?と警告しているのです。では本当に大事なものとは何か? 具体的に自分の中で落とし込むことが必要ですね。
どんな話か理解できたでしょうか?
最近🐿は「マイ・インターン」という映画をみました。
引退した70歳のおじいちゃんが「人に求められる人生を送りたい」という動機で今をときめくキラキラIT企業でインターン(職場体験)するお話です。就活では履歴書の代わりに自己紹介PVをyoutubeにアップすることが求められるし、周りの同僚はスーツを着ない20代が大半。直属の上司は若手の女性社長です。
最初は偏見を抱いていた周りの同僚も、主人公のおじいさんの人柄と能力を認め始め、おじいさんも職場に溶け込むうちにやがて。。。。という筋なのですが、変わるもの、変わらないものについて考えさせられた映画でした。本当に大事な能力とはなんなんでしょうね。
授業案:
古いメディアを推す人々はなぜそう思うのか。紙の本やマスメディアなど古いメディアがになってきた役割を具体例として挙げながら、主張をまとめよ。
また逆の立場、新しいメディアの良さも同様に述べよ。
授業案:
この話で筆者が重要視している「どの時代でも変わらない知性」とは具体的に何を指すのか。あなたが考える「知性」を述べ、それを獲得するために何が必要なのかを説明せよ。